業務効率を高める外部サービスの有効利用

アメリカの日系企業様へERPの導入・サポートをご提供するなかで、経理・総務・人事といった間接部門を中心に、定型的なルーティン業務をなるべく簡略化し、人員の適正化やコスト削減、コア業務への資源集中を図りたいという声を多く耳にします。また、日本と異なる点として、米国では従業員のスキルレベルや責任意識、作業の精度にもバラつきがあり、さらに離職率も高いことから、なるべく属人的なオペレーションを排除し、システムやサービスに業務を肩代わりさせたいという傾向が高まってきております。

このような業務改善を行う際、従来は社内要件に合わせて自社用の独自システムを構築したり、多大なコストを掛けてERPの機能追加や改修を行うことが一般的でしたが、昨今、特にアメリカでは、汎用化された外部サービスを必要に応じて活用し、有機的に基幹システム(ERP等)と連携させるという方式が広がっております。

今回は、米国で一般的に使われているクラウド型の外部サービスをいくつかご紹介します。

経費・出張旅費精算サービス(Concur)

出張の事前申請や事後精算は、出張者のみならず承認者・清算部門にとっても非常に労力のかかる作業です。従来の手続きですと、書面による申請・承認や、Excelでの経費管理、紙の領収書の収集などが行われていましたが、現在では多くの企業が外部サービスを活用し、作業時間の大幅削減やペーパレス運用を実現しています。アメリカではConcurという会社が同サービスの最大手(SAPが買収し、日本にも既に進出)ですが、同社のサービスでは以下のような機能を提供しています。

  • モバイル端末からの出張申請や承認
  • Google mapを利用したマイレージ(移動距離)計算
  • Concur社サイト上での飛行機やホテル予約
  • OCRを利用したレシートの読み込み

また、ホテル代の上限などの社内規定を設定し、申請内容が規定から外れている場合には、申請者と管理者の双方にアラートを出すことも可能です。承認履歴を含めたこれらすべての情報はログとして残りますので、監査時の対応も省力化できます。

他にもParamount Technologies社のWorkPlaceというサービスが有名ですが、こちらは経費や出張旅費の申請・承認に加え、物品の購買申請や一般的な稟議決裁といったワークフロー機能全般を提供しています。

このようなサービスは、MicrosoftのDynamic 365シリーズやDynamics GPなどのERPと連携ができるため、承認された経費や購入製品などの情報を、そのまま基幹システムに簡単に流し込むことができます。

[Concurの画像認識、自動入力機能]

Concurの画像認識、自動入力機能

[携帯での経費承認画面]

携帯での経費承認画面

税率計算サービス(Avalara)

アメリカは日本とは違い、各州(全米50州)においてSales Tax(営業税)の税率が異なっており、さらには州の中にあるカウンティ―(郡)やシティー(市)においても独自の税率を設定しているケースがあります。また、提供するサービスや販売する製品ごとにも、細かく税率が定められております。
一般的な会計システムやERPでは、お客様向けの請求書を作成する際に手動で税率を入力できる、あるいは税率をマスタ化して自動で請求書に反映させることができますが、以下のような課題を考慮する必要があります。

  • 手作業の場合、税率・税額の誤入力が発生する。
  • 州・郡・市ごと、サービス・製品ごとの税率を把握しなければならない。
  • 頻繁に発生する税率の変更を常にチェックし、手動でシステムに反映させなければならない。

上記のような問題点への解決策として、アメリカでは税計算を代行するサービスがいくつか存在していますが、その中でもAvalaraという会社が急成長を遂げています。
Avalaraは2004年に創業された割と若い会社ではありますが、Microsoft Dynamics 365といったERPをはじめ、700以上の業務システム(会計システム、POSシステム、e-commerceシステム、など)と連携できるインタフェース(API)を持っております。

会計システムやERPで請求書を生成する際、Ship To(発送先)の情報や、販売するサービス・製品の情報をAvalaraのクラウドサービスと連携させれば、Avalara側で自動算出した税率を請求書に反映させることができます。Avalaraは税率に特化したサービスのため、州・郡・市やサービス・製品ごとの税率の変更も常にアップデートしており、税制の変更にも即時対応しています。
また、税額の計算は、一歩間違えばペナルティを課せられてしまうような非常にセンシティブなオペレーションですので、極力自社で行わず、Avalaraのような外部の専門サービスを活用することがリスクマネジメントにも繫がります。

今回ご紹介した2つのクラウド型サービスはあくまで例となりますが、ここ数年のアメリカでのトレンドは、自社に特化したシステムを作り込み「保有する」のではなく、市場のトレンドを取り込んだクラウド型サービスを適材適所で「利用する」という方向に、大きく変わってきております。

CALSOFT SYSTEMS
洪 哲寿

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