RPA ロボットで自動化?マイクロソフトDynamics 365の事例

RPA robotic process automation

我々が日々、アメリカの日系企業様にERP導入の支援をさせて頂く中で感じる事の一つに、導入後の更なる業務効率化になかなか着手できていないのでは?という事がある。

ERP導入によって、企業の部門毎に分断されていたデータが、一連の意味を持つ集約されたデータベースになり、経営者はもちろんシステムの主たる利用者である各部門ユーザにおいてもより迅速に必要な情報にアクセスすることができ、情報の一貫性確保、経営の見える化を実現できたと一定の評価を得ている反面、システムに入力する情報はより正確により広範囲に管理する必要がありERP導入前に比べて実は入力情報は増えていると感じている企業は少なくないのではないだろか?

例えばある日系の飲料メーカー販売会社のケース。

基幹システムであるDynamics GPで販売データ、購買データが管理されており集約された売上げデータはERPから取得出来ているものの、得意先からの日々のオーダー入力にはExcelシート上での注文内容の確認後、Dynamics GPに注文データとして逐一担当者がデータエントリーをしている。当たり前のように必要な作業として、ミスの無いように、正確にシステムに入力をされているのだが、作業としては情報の転記という単純作業である。ただ、かといって正確性を欠けば購買部門や、ロジスティック部門に影響を与えるため慎重に行う必要があり、そのためオーダー入力作業に1日2時間ほどを要する人工がかかっている。こういう事は業種を問わず一般によくあるケースかと思う。

昨今ではこういったERPへのデータ入力などの比較的単純で定型的な仕事を自動化する取り組みが盛んだ。そのソリューションの一つが昨今話題のRPA(Robotic Process Automation)ツールを使った作業自動化である。オフィスソフトや業務ソフトの巨人であるマイクロソフトもこの分野には力を入れていて、RPA機能を搭載したPower Automateをリリースすると発表したのも記憶に新しい。

https://flow.microsoft.com/en-us/blog/robotic-process-automation-now-in-preview-in-microsoft-power-automate/

RPAとはデータ入力や、転記作業などの従来ホワイトカラー業務として行われている仕事を、効率化・自動化するソフトウェアロボットであり、RPAはコンピュータ上での定型作業を人間の代わりに正確に・高速に作業することが出来るため、単純作業の効率化、生産性向上、人為的エラー防止につながるとして世界中でその活用に注目が集まっている。

先ほどの飲料メーカ販売会社のケースで言えば、ERPへのデータ入力担当者の代わりに、RPAロボットがERPにログインし販売モジュールを起動し、何件もの販売データを高速に入力処理してくれるのである。そんな事ができるのか?と思われるかもしれない。

具体的なRPAの作業内容としてはこうだ

  • 客先毎の注文シート(エクセル)を、所定のフォルダから取得
  • Excelデータを読み取り、得意先コード、品番コード、数量、出荷先などをコピーし、ERPの受注入力用取り込み標準テンプレート(CSV)に変換
  • 取り込み用テンプレート(CSV)から必要な情報をコピーし、Dynamics ERPを起動
  • Dynamics ERPにログイン
  • 販売管理モュールを選択
  • 受注入力画面でコピーした情報を所定のフィールドに入力
  • すべての注文データを入力するまで繰り返し
  • 作業終了後にEmail を起動して、完了通知を担当者に連絡

これにより、毎回2時間のデータ入力作業が人間の手から離れ、売上げ分析や、販売拡大のためのプロモーション企画など、より高付加価値の仕事にリソースを振り分ける事ができる。

RPAのメリットはデータ入力の自動化だけにとどまらない。ERPからデータを取得して定型のExcel レポートを作成する。そのレポートを必要な担当者へメールで展開する。そういった複数のアプリケーションを横断する作業も人間に代わってこなしてくれる。

こういったRPAを使った業務自動化は今後ERPを使いこなす上での必須ツールになるだろう。複雑な業務処理はRPAでプロセス定義していく中で簡単な作業ではないが、上に挙げたような作業内容は今後RPAが人間の代わりに行う事例がますます増えていくだろう。

CALSOFTではDynamics 365 (Business CentralやFinance / Operation)を始めとしたERP製品と、UiPathのようなRPA製品を組み合せた提案を積極的に推進しており、米国内の日系企業でもその導入事例が増えている。ERPを導入したのに、予想外に手入力が減っていない、また非効率的だと感じている経営者の方々には業務改善につながるソリューションとしてぜひご活用頂きたい。

CALSOFT SYSTEMS

吉川和宏

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