Microsoft Dynamics 365 価格改定情報 [2024年]

Dynamics 365 pricing increase

マイクロソフトは2024年10月1日より、Dynamics 365の価格改定(全てではない。シリーズの中の多くの商品)を5年ぶりに実施しました。コスト増加は企業にとって懸念材料となりますが、今回の変更は現在及び将来的にDynamics 365が提供するイノベーション、セキュリティ、パフォーマンスへの継続的な投資を反映したものとなっています 。

このブログでは、価格改定の理由、追加された新機能、そして各企業がDynamics 365を通じてどのようにプロセスを効率化しビジネスを成長させ得るかをご説明します。

価格改定の背景

Dynamics 365の初回リリース以降、マイクロソフトは同プラットフォームへの多大な投資を行い、継続的な機能強化と技術革新を行ってきました。また、Dynamics 365が最先端のビジネスアプリケーションとして進化し続けるために、近年ではAI機能と機械学習(ML)ツールを実装し、ユーザがより深い洞察力を得、日常的なタスクを自動化するための支援を行ってきました。

さらに、マイクロソフトはセキュリティとコンプライアンス機能の強化にも多くの資本を投下しており、データのプライバシーと保護が最優先される現代において、企業が自信を持って事業を運営できるようなサービスを提供しています。またクラウドプラットフォームにより、システムのスケーラビリティと柔軟性も大きく向上しており、小規模企業から大企業まで、各企業固有の要件に合わせた適応性の高いシステム運用が出来るよう進化を遂げています。

今回の価格改定は、これらのイノベーションによってもたらされる付加価値を反映したものであり、マイクロソフトが顧客の将来のニーズを満たすために、継続的なプラットフォームへの投資と開発を目的として実施されるものです。

対象製品ごとの新価格体系

2024 年 10 月 1 日より価格が改定されるDynamics 365製品のリストは、以下の通りです。

製品2024年10月1日までの価格2024年10月1日以降の価格
Microsoft Dynamics 365 Sales Enterprise$95$105
Microsoft Dynamics 365 Sales Device$145$160
Microsoft Dynamics 365 Sales Premium$135$150
Microsoft Relationship Sales$162$177
Microsoft Dynamics 365 Customer Service Enterprise$95$105
Microsoft Dynamics 365 Customer Service Device$145$160
Microsoft Dynamics 365 Field Service$95$105
Microsoft Dynamics 365 Field Service Device$145$160
Microsoft Dynamics 365 Finance$180$210
Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Management$180$210
Microsoft Dynamics 365 Commerce$180$210
Microsoft Dynamics 365 Human Resources$120$135
Microsoft Dynamics 365 Project Operations$120$135
Microsoft Dynamics 365 Operations – Device$75$85

これらの値上げは、新規および既存顧客(2024年10月1日以降の更新時)に対し、グローバルに適用されます(他の通貨でも同等の価格変更が適用されます)。

: この時点でDynamics 365 Business Centralの価格は変更ありません。

出典: New pricing for Microsoft Dynamics 365 effective October 2024 – Microsoft Dynamics 365 Blog

Dynamics 365の新機能

マイクロソフトによる定期的な機能アップデートにより、Dynamics 365はさまざまなビジネスに必要不可欠な、より価値の高いツールとなっています。業務の効率化やプロセスの最適化を強力にサポートする新機能を、更にいくつかご紹介します。

高度なAIと機械学習機能

Dynamics 365はAIアシスタント機能(Copilot)の大幅な強化により、従業員のタスク自動化、ワークフローの合理化、アイデア生成、分析情報の取得など、これまで多くの人手と労力を掛けて行っていた作業を飛躍的に省力化し、作業の迅速化と正確性向上を支援しています。また、AI予測ツールや顧客動向分析ツール等を活用することで、リアルタイムな顧客動向の把握、市場のトレンド予測、それらに基づいた迅速な意思決定を行うことが出来ます。

強力な分析ツールとレポート

最新のプラットフォームでは、さらに堅牢な深い分析ツールが提供されており、データをより深く掘り下げ、複数の分析軸で多角的なレポートを作成することが出来るようになっています。Microsoft Power BIとの統合も強化されているため、経営指標に必要なデータをグラフやダッシュボードといった視認性の高い形式で出力し、リアルタイムデータの可視化と共有、トレンドやパターンの瞬時把握、より正確でタイムリーな意思決定が可能となります。

自動化機能の向上

人件費の高騰や人手不足が叫ばれる昨今、業務プロセスの自動化は多くの企業から注目を集めています。そのような背景を受け、最新のDynamics 365のアップデートでは、多くの自動化機能が提供されています。一例として、ワークフロー(承認プロセス)の自動化、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)、インテリジェントドキュメント処理など、より高度な自動化ツールが含まれるようになりました。これらの機能により、企業は手作業とヒューマンエラーを削減し、より戦略的な活動のために貴重な時間を集中することが出来ます。また、部門間での複雑なプロセスや手仕訳などを自動化することにより、組織全体の効率と一貫性の向上、ひいてはコンプライアンスの強化を実現できます。

Microsoftエコシステムとのシームレスな統合

Dynamics 365は、Microsoft 365、Teams、Azureなど、他のマイクロソフト製品との統合を継続的に強化しています。これの統合により、すべてのツールがシームレスに連携し、組織全体で統一されたコラボレーション機能が利用可能となります。たとえば、ユーザーはMicrosoft Teams内で直接Dynamics 365のデータを操作できるため、組織内でのコミュニケーションや意思決定を、迅速かつ効果的に行うことが出来ます。さらに、Azureクラウドサービスとのプラットフォーム統合により、スケーラビリティ、セキュリティ、パフォーマンスが向上し、企業は将来的なビジネスの変化に容易に対応することができます 。

画面例:Outlook連携により、お客様からのOutlookメール内からDynamics 365 Business Centralなどへアクセス可能

業界固有のソリューションとカスタマイズ

最近のシステムアップデートでは、小売、製造、金融セクター等のニーズに合わせた、業界固有のソリューションも導入されました。従来のように業界特有の機能を各企業が自分達で用意するのではなく、既製のソリューションとしてすぐに使用できる機能やワークフローをマイクロソフトが提供しています。さらに、カスタマイズ機能の拡張により、企業は特定の要件に沿ったカスタムアプリケーションとプロセスを容易に作成できるようになり、プラットフォームの柔軟性と有用性がさらに向上しました。

費用対効果を最大化するために

ERPは事業運営における根幹となるシステムであり、IT投資における割合も大きくなる傾向がありますが、システムを最大限に活用することで、発生コストを大きく上回る効果が期待できます。主要プロセスの自動化、社内トレーニングの徹底、新機能の活用、ライセンスの最適化により、企業は全体的なコストを効果的に管理しながら、Dynamics 365から最大の価値を引き出すことが可能となります。

主要プロセスの自動化

Dynamics 365内の高度な自動化機能を活用することで、反復的なタスクを合理化し、手作業による負荷削減や人手不足の解消、ヒューマンエラーの排除を実現できます。また、Power Automateの機能により、営業・マーケティングから財務などのバックオフィスまで、部門間でのワークフローの自動化を強力に支援します。日常的なプロセスを自動化することで、より戦略的な取り組みに集中するための貴重な時間を確保することができ、少ない人的リソースでの生産性向上、及び結果としての運用コスト削減に寄与します 。

画面例:Power Automateを利用したWorkFlow一覧

社内トレーニングの徹底

各ユーザがDynamics 365の機能を熟知し、日々の業務に積極的に活用することが、投資対効果を高めるために非常に重要です。オンラインコースや認定プログラム(資格試験)制度など、マイクロソフトから豊富なリソースが提供されていますので、それらを利用することでユーザの習熟度を高めることができます。また、Dynamics 365の機能に精通したキーユーザを各部門に設け、社内で継続的なトレーニングを実施したり、より効果的な運用に向けた改善点を検討することも、大変効果的です。

最新機能の活用

Dynamics 365は定期的にシステムの自動アップデートを行い、新機能の提供や既存機能の改善を行なっています。特に昨今では、AI や機械学習に関連した機能が強化されており、顧客動向の把握や将来予測、データの自動入力、深い分析によるパターンの可視化など、これまで多くの人手を要した作業をシステムが代行するようになってきています。これらの機能を最大限に活用することで、競合に対する優位性を確保するだけではなく、社内での人員体制の見直しや業務プロセスの改善を通じ、多くの経済的メリットを享受することが出来ます。

画面例:Microsoft AIであるCopilotが商品の特徴を元に、カジュアルやフォーマルなど他ライターが書くような複数のタイプの商品紹介文を作成

ライセンスの見直しと最適化

各ユーザにおけるDynamics 365の利用状況をレビューし、必要なライセンスだけを契約(サブスクライブ)していることを確認します。Dynamics 365のライセンスは特定の業務や機能ごとに細分化されていますので、不必要なライセンスがユーザにアサインされていないかをレビューし、縮小または削除できる部分を特定します。例えば、システムの閲覧・承認権限だけで十分なユーザに対し、全機能にアクセス可能なフルライセンスが割り当てられている場合、適切なライセンスに変更することで大幅なコスト削減が可能となります。

マイクロソフトその他のプラットフォームとも連携

他のマイクロソフトプラットフォームとのコラボレーション機能を活用することで、IT投資効果を大幅に向上させることが出来ます。プラットフォーム間でデータ共有することで、社内コミュニケーション、ワークフロー、データビジュアライゼーションといったそれぞれの製品のポテンシャルを、最大限に引き出すことができます。また、セキュリティやユーザ管理なども統合できますので、IT管理の効率化とコストの最適化も同時に実現することができます。

結論

Dynamics 365は、先進的なAIやプロセスオートメーション、システム間の連携といった、業務効率の向上と意思決定の迅速化を強力にサポートする機能を、継続的に提供しています。定期的なトレーニング等を通じて標準機能の理解を深めるとともに、常にアップデートされる最新機能や他システムとのコラボレーション機能を最大限に活用することで、コストを大幅に上回るメリットを得ることができます。