米国でのERP導入プロジェクト成功の秘訣–社内での協力体制

The Secret of Cooperation and Successful ERP Implementation Project in the United States

ERPプロジェクトに欠かせない社内での合意形成

これまでカルソフトシステムズではMicrosoft Dynamics 365などの ERPを中心に約300社程にERP パッケージの導入や運用サポートを行ってきました。どのプロジェクトにもそれぞれの課題やチャレンジがありましたが、カルソフトでは、それらに正面から向き合い、ひとつひとつをクリアして進めております。その経験をここで皆様と共有し、今後のプロジェクトが成功に少しでもお役に立てるように、米国でのERPプロジェクトに欠かせない成功の秘訣として『社内での協力体制』について本ブログで触れてみたいと思います。

抵抗勢力が… そもそもなぜ抵抗を受けるのか?

ERPは、幅広い業務情報を一元管理・可視化出来ることから、多くの場合、経営者視点で必要な情報を得るためのツールとして導入が決定されます。ただ導入プロジェクトでは、企業の業務全体の最適化を目指す観点から、現場での業務プロセス改善も積極的に検討され、従来から長い間行っていた業務手順が変更になることもあり、実務に携わる従業員の協力やコンセンサスが必要となってくる場合が多いです。

もちろんERPは経営層や管理者だけのものではなく、現場視点からも有益な点も多く、今まで出来なかった作業負担の軽減や情報共有も可能となります。

例えば、従来は手作業で行っていた煩雑なデータ入力作業を一括取り込みで出来る様になります。また様々な便利な機能や最新のテクノロジーを活用することで、ユーザの作業負担を軽減することも可能です。しかしながら、ERPは企業の新社屋建設や引っ越しの様なもので、古いシステムから新システムへ移動する際、人間の心理的に「未だ見えないこと、新しいこと、変化への不安」もあり、時としてそれらが他の要素と絡まると、大きな抵抗となり、プロジェクトが進まなくなってしまうこともあります。

では、どんな抵抗を受けるのか?

程度の差はありますが、主に下記の様な抵抗があげられます。

  • ジョブセキュリティ
  • 新画面や新業務手順への抵抗
  • 新しいベンダーへの不安や新システムへの懸念

ここからは、上に記したことについてもう少し踏み込んで触れていきたいと思います。

  • ジョブセキュリティ

ジョブセキュリティは日本語で表すと「雇用を守るための手法や知識」ということになりますが、分かり易く言うと「社内で自分を首にできないようにするために、自分しか分からない業務や知識を確立すること」と言ったことです。中小規模の企業で長年勤めていくと、往々にしてその様な状況に至りやすく、良く見受けられる状況です。本人も望んでその様な状況を作り出した訳ではないのかもしれませんが、企業側とすると業務のブラックボックス化が進み、BCPの観点から見ると、その様な立場にいる従業員を抱えることが大きなリスクになってきます。

ERPプロジェクトでは、導入の効果として業務の効率化を目指し、今までより短時間で業務を完了し、品質も向上することが期待されますが、上記の様な人員を抱える企業がERP導入を進める場合、その従業員のジョブセキュリティが働き、ERP導入に抵抗する場合も出てきます。これまで長年自分が担っていた業務が効率化されることにより、配置転換や雇用自体が危ぶまれる可能性があり、自分の立場・雇用を守るために、必死に抵抗するためです。

  • 新画面や新業務手順への抵抗

よくあるユーザからの指摘では「新システムが分かりにくい」「新しい操作方法を覚えるのが面倒」「これまでの業務よりも複雑」等、多くの場合において、変化への戸惑いが根底にある様に見受けられます。

システム変更プロジェクトでは、「変化」「刷新」などの言葉が伴うために、一時的にせよシステムユーザには負担が掛かります。新システムの画面、業務フロー、操作手順、メッセージ、マニュアル等、ベンダー側が提供するシステムの設計やシステムの機能自体に不具合や問題がある場合は、機能的に対処するしかありませんが、問題の本質としては心理的な部分から発している場合、システムの機能レベルではない、その他のケアが解決策となってきます。

この様な抵抗を緩和させるための策として、システム機能レベルで、カスタマーゼーションやアドオン機能の追加を行うこともありますが、問題の本質を捉えない場合、必ずしも解決策として機能しないことがあります。またこれらの追加処置において、初期投資が余計に掛かることは当然のことながら、ランニングコストやバージョンアップ時の難易度、加えてシステム規模の拡大により不具合が起きるリスクも高くなることが考えられ、お勧め出来るものではありません。

  • 新しいベンダーへの不安や新システムへの懸念

新システムを導入する際に、新しいベンダーやソフトを採用するケースが多くあるかと思います。経営層により選ばれたベンダー、本社や関連会社から指定されたベンダーやソフトなど、その選定プロセスに関わらなかった人からすると、自らの業務を知らない人々に望いことを押し付けられそうで、漠然とした不安をもとに抵抗される可能性もあります。

また新システムにおいて、従来利用していた機能やアクセス権限がなくなったり、システムトラブル、作業時間の制限、処理スピードが遅くなったりと、これまで不便を感じていなかったシステムユーザの観点からすると「従来のシステムの方が私には便利で使い易い」と考え、そのバイアスや不安から新システムへの抵抗を表すユーザも現れてきます。

ERP導入を成功させる秘訣

これまで記載した様に、ERPシステムの導入・入替は会社全体としての全体最適・利益をもたらすものであっても、各個人の中には不利益に感じられることもあり、場合によってはプロジェクトを妨げるまでの抵抗に至ることも少なくありません。そのため、プロジェクトを成功裏に収めるため、充分に関係者との理解を図り、擦り合わせを重ね、全体含むメリットを根気よく説明し、少なくとも現場の理解を得ようと努力しながらERPを導入することが肝要となってきます。ここからはカルソフトでERP導入進める際に重要と考えているポイントを、必ず成功のヒントなることを期待して少し長めですが4つもポイントをご説明させて頂きます。

A) スコープ決めとゴールの明確化

ERP導入プロジェクトは、様々な関係者を巻き込むプロジェクトであるため、何をゴール・目的とするかを明確化し、それらを共有・浸透させることが重要です。プロジェクトの計画段階では、様々な関係者から意見を集めることが重要ですが、その反面、それぞれがそれぞれの観点で改善希望を述べると、プロジェクトのスコープ(範囲)が広がり過ぎて、収拾がつかなくなるともあり得ます。こういった状況を防ぐため、要件定義プロセスではしっかりとその内容を分析し、議論を重ね、優先順位を明確にすることが必須となります。

またERP導入は投資金額も小さくなく、導入や運用の難易度も易しくないため、カルソフトではコンサルティング部門のメンバーによりプロジェクトマネジメント サービスをご提供しており、プロジェクトを成功に導くべくサポートさせて頂いております。具体的には、お客様の優先度の応じたプロジェクトロードマップを作成し、中長期的にプロジェクトをいくつかのフェーズ分け、包括的なITストラテジーの構築とソリューション構築や改善の定着化必要にもなってきます。

B) キーパーソンの巻き込み

プロジェクトを成功させるためには、重要成功要因として何が欠かせないか見定め、それらをどの様に実現・確保するか見極めることが必要です。意思決定という点においては、社内のそれぞれの分野のキーパーソンを見定め、その人物をどの様に巻き込むのが最適であるかを見極めます。どの会社でも部門長以外に、業務上のキーパーソンがおり、意思決定に大きな役割を果たすことがあり、ERP導入プロジェクトを成功に導くためには、この様な人物の協力が欠かせません。仮にプロジェクト内で上手く進まない場合や問題が生じる際も、その様な人物の協力を得て、味方となって動いてもらえることで、関係者への働きかけを側面から支えてもらい、意思決定の支援を得ることが可能になります。

実際カルソフトでも、プロジェクトの実施に際して、お客様側のキーパーソンの方や、その他社内メンバーの部門・役職に応じて、適切な会議体やコミュニケーションスキームを整え、お客様と適切な頻度と方法でコミュニケーションを行い、プロジェクトを進行しております。

C) ユーザからの理解と協力

ERP導入プロジェクトを成功に導くためには、業務を担うユーザの同意や協力が欠かせません。そのため、現場が抱える課題を理解し、企業戦隊や業務の生産性を向上するためのソリューションを提供することが重要であり、そのメリットをキーメンバーなどと共有することがプロジェクトの成功にとって大変大切な要素になります。逆に言うとプロジェクトにおいては、その観点を忘れると各ユーザからの理解と協力を得ることが難しくなってきます。

ポイントとして、経営者視点だけでなく、ユーザ視点で目的を定義することも忘れず全体最適を図ります。もちろん理想論だけで進めることも出来ませんし、実務を無視すると本末転倒になることもあるので、現場とのコミュニケーションを重視し、打ち合わせを重ね、最適なソリューションをベンダーと協力しながら提供していくことが大切です。

D) 経営者やプロジェクトマネージャーのコミットメント

企業経営もERP導入プロジェクトも全ては人間の為すことであり、それら全ては携わる人の「想い」や「意志」で決まってきます。因って、様々な人の業務や役割分担が関わるERP導入プロジェクトにおいては、主導する経営層やプロジェクトマネージャーが「必ずERP導入を成功させ、業務・経営改善に結び付ける」という強い意志を持つことが大切です。もし社内で抵抗があった際にも、トップの当事者意識、リーダーシップ、コミットメントがあれば、社内を牽引し、どんな厳しい状況も一丸となって乗り越えていく大きな助けとなるでしょう。

この分野に課題に取り組むため、プロジェクトマネージャーの方が、始まる前にどの様なことを知っておくべき、何をすることでプロジェクトを成功に導くことが出来るかが良く分からないという場合は、そのための相談、事前のトレーニングやコンサルティングサービスを行っているパートナーもいます。

最後に、ERP導入プロジェクトは、全体最適を求めるプロジェクトでもあるため、経営者視点だけでプロジェクトを進めるのではなく、横断的に協力体制を得ることが必要です。また兼務が多い海外子会社や支店の多くのメンバーが、プロジェクト専業で動ける訳でもなく、現行業務を行いながら進めることが多いため、片手間な作業で気持ち含め中途半端とならないよう、関係者の共通認識やコミットメントを得、またそのプロジェクトをレビュー項目に含むことなども時には必要です。

カルソフトでは、外部ベンダーとして自社側のリソースやタスクを管理するだけに終始するのではなく、お客様のプロジェクトメンバーの方と積極的にコミュニケーションを行い、お客様側のリソースやタスク管理も出来る様なPMO (= Project Management Office) サービスもご提供しております。詳しくは弊社セールスまでお問い合わせください。

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