Microsoft Azure vs. AWS (2021)

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クラウドコンピューティングとは

クラウドコンピューティングは、クラウド環境でサーバー、ネットワーク、データベース、ストレージ、ソフトウェアなどのデジタルコンピューティングサービスを利用することを一般的に指す用語です。これらのサービスは、サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)、およびサービスとしてのソフトウェア(SaaS)の3つのカテゴリーに分類されます。

Infrastructure as a Service (IaaS)クラウドにある、サーバーやネットワークのコンピューティング環境やリソースのみの提供を受けるモデルです。
Platform as a Service (PaaS)クラウドにあるサーバー環境に加え、アプリケーションを稼働するためのデータベースやプログラムなど実行環境を利用するモデルです。
Software as a Service (SaaS)上述のものに加え、ソフトウェアを提供者(プロバイダ)側のコンピューターで稼働させ、ユーザーはインターネット経由でソフトウェアを使用するモデルです。

クラウドは、大きく分けてプライベート、パブリック、またはハイブリッドの3つに分類されます。パブリッククラウドは一般ユーザーや企業向けに公開されていますが、プライベートクラウドは企業が専用のサーバーや物理・仮想環境(時には自社のデータセンター)を利用して、企業内のグループ会社や部門などに対してクラウドサービスを提供します。ハイブリッドクラウドは、プライベートやパブリック含め複数のクラウドの実装モデルを組み合わせる形態です。

クラウドサービスの種類を問わず、クラウドコンピューティングの利点は、企業がシステム運用・保守作業に人的リソースを費やすことが不要となり、削減した資金や人的リソースをほかの重要な作業に充てることが可能となることです。また、クラウドコンピューティングにより、社内インフラを管理および開発するためにリソースを割り当てる代わりにそれらをレンタルすることにより、必要に応じて拡張できるようにします。この高い拡張性により、企業は需要に適合する社内インフラを容易に素早く設計することができます。 

Microsoft Azureのメリット

Microsoft Azureは、長い年月にわたり多種多様な業界・業種向けにクラウドコンピューティングサービスを提供してきました。Microsoftが提供する他のサービスと大変柔軟に統合・連携することができ、且つユーザーが普段よく目にする使い易い管理画面を備えたプラットフォームです。

現在、Fortune 500企業の95%以上がAzureを使用しており、クラウドプロバイダーの中で最も多い60を超える地域ゾーンに含まれる140か国にサービスを展開しています。MicrosoftのビジネスアプリケーションであるDynamics 365もAzureでホストされており、ホスティングコストはDynamics 365の毎月のライセンス料金に含まれています。

昨今、セキュリティや安全性への懸念が高まっていますが、Azureは強力なセキュリティの基盤の上に構築されており、米国政府によって最も信頼できるクラウドとして認められています。 

AWSのメリット

アマゾンウェブサービス(AWS)は、クラウドに移行する企業にとって使いやすく、柔軟性があり、費用対効果の高いソリューションとして知られています。AWSが提供する様々なツールを活用することで、コンピューティングとIT双方のニーズに対応することが可能です。

2006年に開発されたAWSは、現在クラウドサービスプロバイダーの業界リーダーに成長しました。AWSは、Azureと同様のサービスを提供し、グローバルデータセンターのネットワークを通じて200を超えるサービスを展開しています。

AWSは、25の異なる地域ゾーンに80のアベイラビリティーゾーン(AZ)を提供することにより、ユーザーが安全なコンピューティングインフラストラクチャを使用することを可能にしました。Azure Virtual Machinesと同様に、Amazon Elastic Compute Cloudサービスは信頼性の高いコンピューティングリソースを提供します。

AzureとAWSの主な違い

Azure vs. AWS: 機能とサービス

AzureとAWSは共通した機能とサービスを提供していますが、両社のサービスを比較すると少なからず違いがあることが分かります。次の表は、両社が提供するサービスとその主な特徴を簡単に比較にしたものです。

ソフトウェアAzure AWS
仮想マシンAzure仮想マシンを介した計算能力とAzure 自動スケーリング機能により、パフォーマンスを最適化 。マイクロソフト製品との親和性が高い。Amazon Elastic Compute Cloudは、475以上のインスタンスと、最新のマシンにより幅広いニーズに対応できるプラットフォームを提供します
クラウドストレージ分散オブジェクトストレージ・ブロックストレージ・ファイルストレージ・クールストレージ・コールドストレージオブジェクトストレージ・ファイルストレージ・ブロックストレージ・バックアップストレージ・エッジストレージ
ネットワーク接続サービス・アプリケーション保護・ネットワーク監視など、ワークロードの要件を一貫して満たします。ネットワーク上のデータの構築、スケーリング、保護など、Azureと同様のネットワーク機能を提供します。
アプリホスティングAzure App Serviceは、WebアプリとAPIを構築、デプロイ、スケーリングするためのフルマネージドプラットフォームです。App Service Migration Assistantを利用して、アプリケーションをクラウドに簡単に移行することが可能です。AWSは、アプリのホスティング環境をAmazon EC2、S3、RDS、CloudFront、SQS、DevPayなどのいくつかの異なるサービスに分断して提供します。
人工知能(AI)Azure AIは、機械学習、ナレッジマイニング、AIアプリなどの実績のある安全なAI機能を提供します。さらに、Azure Cognitive Searchは、データから洞察を簡単に抽出するためのツールを提供します。AIと機械学習サービスは、市場の幅広いニーズに合うソリューションを提供することに重点を置いています。
Internet of Things (IOT)Azure IoTは、業界特有のニーズに適応可能な幅広いサービスを提供します。AIモジュールは、簡単かつ迅速に展開されます。AWS IoTは、産業、家庭、および商用アプリケーション向けに設計された幅広いソリューションを提供します。
インテグレーションAzure Integration Servicesは、API管理、ロジックアプリ、サービスバス、およびイベントグリッドを活用して、オンプレミスとクラウドベースのアプリケーションを統合するためのスケーラブルな環境を作成します。AWSアプリケーション統合は、API管理、イベントバス、メッセージング、ノーコードAPI統合、およびワークフローを提供します。
セキュリティ91の異なるセキュリティコンプライアンス標準に準拠75の異なるセキュリティコンプライアンス標準に準拠
アベイラビリティーゾーン140ゾーン(2021)61ゾーン(2021)
データのバックアップとリカバリ安価で利用可能利用可能
アクティブ/クラウドディレクトリAzure ADは、Azureプラットフォーム向けのマルチテナントクラウドベースのIDおよびアクセス管理ソリューションです。これにより組織や個人に安全なアクセスを提供することが可能です。AWS Cloud Directoryは、ディレクトリ対応型ワークロードと AWS リソースがAWS 内のマネージド型 Active Directory (AD) を使用することを可能にします。使用するためには、IT担当者による事前作業・設定が必要になります。

Azure vs. AWS: サポート

AzureとAWSはどちらも、開発者レベルから企業レベルに対応するサポートプランを提供します。価格設定に関しては、両社とも比較的類似した価格となっています。

しかし、企業向けのサポートプランを比較すると、2つのサービスの価格に大きな差があります。Azureは月額US$ 1,000で提供していますが、AWSは月額US$ 15,000です。この価格の差がある理由は、AWSの場合お客様にアカウントマネージャーとサポートコンシェルジュへが割り当てられるほか、発生した問題がビジネス継続に重大な影響を与える場合、15分以下(Azureは1時間)での応答などのサービスが含まれているからです。

Azure vs. AWS: 価格

どちらのプロバイダーも多くのサービスを提供しているため、価格面においてどちらがお手頃であると判断することは困難です。代わりに、最善のアプローチは2つのプロバイダー間の同様のサービスの価格を調べ、特定のクラウドコンピューティングの条件に基づいて結論を出すことです。同一条件での比較を行うには、AzureとAWSが提供する公式の価格計算ツールを使用することをお勧めします。

多くの場合、両方のプロバイダーが互いに競争力のある価格設定になっているように思われます。ただし、特定のサービスを掘り下げてみると価格設定に差があることが分かります。例として、Windows ServerとSQL Serverの仮想マシンを比較すると、AWSはAzureよりも120〜150%ほど割高に設定されています。また、アーカイブストレージの価格を見ると、AWSの1GBあたりの価格はAzureの約2倍です。

Azure vs. AWS: 価格の目安

Azure VMs / Amazon EC2 1時間あたりのインスタンスの料金

Azure AWS
オンデマンドウィンドウ/汎用/ 4 CPU / 16GBメモリ$0.5970$0.8560
Windows 3年契約/コンピューティング最適化/ 4 CPU / 16GBメモリ$0.2507$0.3253

データ保管

Azure AWS
HDD$0.05 (Per GB)$0.045 (Per GB)
SSD$0.153 (Per GB*)In 128 GB increments$0.10 (Per GB)

Azureの価格設定に関する質問は、Azureスペシャリストチームにお問い合わせください。

Azure Hybridで月額料金がもっと安くなる!?

Azure Hybrid特典は、Azureでソフトウェアアシュアランス(SA)が有効なWindows ServerおよびSQL ServerライセンスをAzureから提供されるものでなく別途購入して使用することにより、クラウドの運用コストを大幅に削減することが可能となるライセンス特典です。

Windows Server と SQL Server のオンプレミス ライセンスを Azure に移行することで、標準の従量課金制の料金と比較して最大85%節約できる可能性があります。多くの企業がオンプレミスからクラウドへの切り替えを行っているため、Azure Hybrid特典は、それらの企業にとってAzureを選択する一つの理由となるでしょう。

結論

ビジネスに合ったクラウド選定を行うことは容易な作業ではありません。実際、どちらのプロバイダーも包括的で強力なソリューションを提供しているため、信頼できる認定パートナーと協力し、プロバイダーがビジネス要件を満たすことができるか精査することが重要です。

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