NetSuiteとBusiness Centralを機能、価格、AI、スケーラビリティの観点から比較し、ご自身のビジネスニーズに最適なERPシステムをの方もいらっしゃると思います。
このブログでは、世界で最も使われていると言われているERPである2つのソリューションの主な違いを解説します。財務会計、在庫、カスタマイズできるかといった基本的な比較に加え、それぞれのシステムがどのような企業に適しているか、そして後半ではこれらERPを導入する前に考慮すべき点についてもご紹介していきます。今後システムを検討する時には、このブログがあなたの会社や業務に合ったERP選びの一助としていただければと思います。
2つのERPを徹底比較
多種多様なERPの中から最適なシステムを選ぶには、より具体的な比較が必要となります。そこで、業務効率と中長期的な拡張性なども含めれ、Oracle NetSuiteとMicrosoft Dynamics 365 Business Centralを比較しました。

機能・特徴比較
機能・要素 | NetSuite | Business Central |
システム利用形態 | クラウドのみ | クラウド、オンプレミス、またはハイブリッド |
適した企業 | 中小企業、グローバル企業 | 中小企業、グローバル展開しているローカル企業、Microsoft(Office) 365などの使用企業 |
カスタマイズ性 | SuiteScriptによる高度なカスタマイズが可能 | 拡張機能とAL言語でカスタマイズ可能 |
使いやすさ | 習得にある程度の時間を要す。 | Microsoftユーザーに馴染みやすい画面で使い易い |
連携機能(Integration) | SuiteApp.comで752のアプリを提供 | AppSource.comで6,539のアプリを提供 |
価格 | サブスクリプション+カスタム実装 | 買取の柔軟な体系 |
実装期間 | システムの複雑さにより中から長期間 | 規模により短から中期間 |
ユーザーインターフェース (UI) | クラシックなデザインと操作性 | モダンで直感的なデザイン、ユーザーフレンドリーな操作性 |


5年間のERPコスト比較
長い目で見た場合、機能性だけでなくコストも選定の大きなポイントになります。そこで、ある企業の例からフルユーザー8名と基本的な導入ケースを想定したNetSuiteとBusiness Centralの5年間推定コストを、以下の表にまとめました。
年次 | NetSuite | Business Central |
1年目 | 35,000ドル (ライセンス) + 45,000ドル (実装) = 80,000ドル | 95,000ドル (ライセンス) + 6,720ドル (ユーザー) = 101,720ドル |
2年目 | 49,500ドル | 6,720ドル |
3年目 | 54,450ドル | 6,720ドル |
4年目 | 59,895ドル | 6,720ドル |
5年目 | 65,884ドル | 6,720ドル |
5年間合計 | 309,729ドル | 128,600ドル |
*小規模な米国内にある企業のケース。価格は参考情報であり、要件、プロジェクト規模、条件によって変更される可能性があります。
AI機能
人工知能(AI)は、もはやオプションではなく、ERPでも必須の機能となりつつあります。現代のERPでは、AIが業務効率の向上、洞察力の強化、そしてより的確な意思決定をサポートする要(かなめ)となっています。NetSuiteとBusiness CentralもAI機能を搭載していますが、その実現方法やシステムへの組み込まれ方はそれぞれ大きく異なります。
NetSuiteのAI機能
NetSuiteは、Oracle Cloud Infrastructureを基盤にAIツールを強化しており、そのAI Advisorが以下の主要機能をサポートします。
- 請求書処理
- コンテンツ作成
- 需要計画
これらのツールは、反復作業の自動化や予測精度の向上を目的としている一方、システム全体の中央インテリジェンス層として機能一般的に特定のモジュール内に組み込まれる形を取っています。
Business Central + Microsoft Copilot
MicrosoftはAIに対して、より統合的なアプローチを取っています。OpenAIへの140億ドルもの投資により、Microsoftは自社の製品エコシステム全体により高度なAIを組み込んでおり、Business Centralもその例外ではありません。
Copilotを通じて、ユーザーは以下のようなメリットを享受することができます。
- システムと直接チャットして質問への回答を得る
- タスクを自動化し、必要なデータを検索する
- ステップバイステップのガイダンスを受ける
- レコードや顧客とのやり取りを迅速に要約する
CopilotはBusiness Centralの内部で動作し、OutlookやTeamsといったツールとも連携するため、日々のワークフローに自然に組み込まれる形で、様々業務をサポートします。
更なる詳細については?
まだどちらの選択肢が良いかお悩みの方、あるいはNetSuiteとBusiness Centralの機能、価格、使いやすさについて、さらに詳しく比較検討したい方は、下の比較ビデオもご覧ください。このビデオには、より良い意思決定をしていただくための情報をご覧いただけます。
最適なERPを見つけるポイント
数多くのERPの中から自社に最適なものを選ぶ際、よく機能の多さに目を奪われがちですが、実際は、そのシステムが自社のビジネスにどれだけフィットするか、という点がより重要な要素となります。単なる機能のではなく、実際の業務でどのように使用し、それを活用できるできるかが重要になります。その企業に最適なERPとは、日々の業務に深く溶け込み、より業務を複雑にさせることなく、効率化と簡素化を後押しするものです。システム化の目的と業務プロセスに合致したERPは、ビジネス成長のために不可欠なツールとなりますので、ERP選定時には、まず自社ビジネスにとって重要な目的と達成したい目標をしっかりと定めることが必要となります。
NetSuiteとBusiness Centralは、どちらも優れた機能を提供するERPソリューションです。大切なことは、現在の基盤となるERPを選ぶだけではなく、将来にわたっても利用していくために、継続して改善を続けていけるERPシステムを選ぶことです。
NetSuiteは、複数企業の管理機能により、グローバルなコンプライアンスニーズを持つ中大企業に最適しています。もし急速な事業拡大を計画している、複数の法人の管理が必要、または複雑なコンプライアンス要件のある国々で事業を展開しているなら、その運用とグローバル展開のために設計されたNetSuiteが適しているでしょう。
一方、Business Centralは、中長期的な運用コストを抑えながら段階的な改善を行いたい中小企業にとって適しています。成長中の中小企業で、初期の実装に費用や時間をかけずに最新のERPを導入したい場合、Business Centralが有力候補となるでしょう。特に、Outlook、Excel、TeamsといったMicrosoft製品をすでに活用されている場合は、ライセンス利用料のメリットに加え、システムや業務移行がよりスムーズに行いやすくなっています。
例えば、スキューバーダイビングやスポーツ用品をグローバルに販売しているTUSAは、成長する事業を支えるシステム基盤として、柔軟性と使いやすさを求め、Business Centralを導入しました。彼らは、事業拡大に合わせ適時システムや機能を拡張できながらも、日々のプロセスを簡素化し、既存のMicrosoftツールと統合利用しながら、Business Centralで日々生産性の高いビジネスを行っています。
もっと読む:ERP選択における三大要素
次のステップ:自信を持ってERPを選ぶために
Oracle NetSuiteとBusiness Centralのどちらを選ぶかという問いは、実際単なる技術的な判断にとどまらず、その後何年間の企業とビジネスの将来を左右する重要な経営判断となります。ERPは、現在の業務にフィットするだけでなくと同時に、未来のビジネスの方向性を力強く支えるものでなければなりません。
ERPの意思決定をシンプルに
Calsoft Systemsは、お客様それぞれの目標、プロセス、既存システムを深く理解した上で、より適したなERPオプションを評価・選択できるようお手伝いしています。NetSuiteやBusiness Centralに限らず、どのような選択肢を検討される場合でも、その会社のニーズに最適なプラットフォームを見つけるご支援をさせていただきます。
現在の課題、将来の計画に沿した提案をご希望の際は、無料のアセスメントをご利用いただけますので、是非カルソフトまでお気軽にお問合せ下さい。